戒告書・訓告の文例|公文書の書式と書き方をご紹介

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戒告書の書き方と例文|公文書の作り方

戒告書とは

行政代執行(※)を行う場合には、履行期限を定めて「戒告」を行い、期限が到来してもなお義務が履行されないときに代執行をなすべき時期等を文書により通知をし、その後に実力の行使を行います。
このとき戒告を行うために発するのが戒告書です。

 

※ 行政代執行
私人の作為義務が履行されない場合で、不履行を放置することが著しく公益に反する場合に、行政庁が自ら義務者のなすべき行為を行い、その費用を義務者から徴収する制度です。

 

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戒告文の構成

戒告文は、通知文に準じ、文書番号、日付、通知先、通知元、標題、本文及び「記」で構成されていることが多いです。
これに別紙や別添が付されることがあり、最後に問合せ先が置かれます。
以下通知文の書き方に準じて解説します。

 

文書番号と日付の書き方

日付と文書番号は、用紙の右上に揃えて記載します。
右端を1字分空けて、日付と文書番号を「均等割付」します。
文書番号は、記号及び番号で構成され、部課等の組織単位で暦年又は年度ごとに管理されます。
(□は空白スペース)

            記号第1234号□
            令和6年1月1日□

 

通知文以外の文書では、文書番号に代えて作成官庁や部局名を記載する場合もあります。この場合は、日付を上に書く例が多いです。
(□は空白スペース)

            令和6年1月1日□
            総   務  部□

 

通知先の書き方

通知先は、文書番号から1行又は2行空けて記載します。
肩書と氏名を記載するのが原則ですが、以下の3通りの書き方があります。
① 肩書と氏名をを1行に続けて書く

□○○県知事 山 田 太 郎 様

 

② 肩書と氏名を2行に分け、2行目に氏名のみ書く

□○○県知事
□□山 田 太 郎 様

 

③ 肩書と氏名を2行に分け、2行目に役職名と氏名を書く

□○○町会
□□会長 山 田 太 郎 様

 

上記のように、1行目の書き始めは1字下げ、2行目は更に1字下げにします。
この場合、2行目の氏名の最後の文字が1行目の肩書の最後の文字よりも更に右に出た方が見やすいので、肩書が長い場合は氏名の記載位置を若干調整することがあります。

 

氏名は1字抜きで記載するのが一般的です。
氏又は名が3字のときは間を詰め、氏又は名が1字のときはそれぞれの真ん中に記載する方法と端に記載があります。
ただし特殊な字数によって表記に違和感がある場合は、任意の方法を採ってもよいとされます。
1字抜きの例(■が1字抜き)

山■田■太■郎
大山田■幸太郎
■泉■■太■郎  又は  泉■■■太■郎
山■田■■明■  又は  山■田■■■明

 

氏名を書かず、肩書のみ記載することも多いです。
通知先が複数あるときは、並記して肩書部分を均等割付します。
敬称は国では「殿」を用いていますが、地方公共団体では「様」を用いる所が増えています。
通知先が複数あるときは、敬称は、原則として上下の中央に一つだけ付けます。
なお一つの肩書で複数の通知先を表わすときは「○○ 各位」などとし、「各位殿」は使用しない。

 

均等割付し上下の中央に敬称を付ける例

各  部  長
教  育  長 様
警察庁本部部長

 

通知元の書き方

通知元は、通知先から1行または2行空けて記載します。
表記の方法については、原則として上記の通知先と同様です。
ポイントとしては、通知先と通知元の肩書を均等割付すると見栄えが良くなります。

 

通知元の記載位置は、公印が押せる位置にします。
公印を押さない文書だとしても、押すものと仮定して、通知元の最後の文字の真ん中と公印の左端が合うよう調整します。

 

通知元については、氏名を記載する場合と肩書のみを記載する場合があります。
原則として、大臣、都道府県知事、市区村長の場合は氏名を記載します。
また、通知元が官庁の場合、行政機関の往復文書の場合は氏名を記載しないことが多いです。

 

標題の書き方

標題は、通知元から1行又は2行空けて記載し、「中央揃え」します。
かつては3字下げで標題を書き始めていましたが、Word等の普及で現在はセンタリングが基本となっています。
末尾は「~について」とするのが普通ですが、定型があるわけではありません。
標題は1行に収めるのが適当ですが、2行になってしまう場合は、2行目を「中央揃え」せず、その頭を1行目の頭に合わせます。
また、標題の最後には「(通知)」等の文書の性格を表わす括弧書を付加します。

 

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本文の書き方

本文は、標題から1行空けて記載し、1字下げで書き始めます。
書き出しは、標題を受けて、以下のような形から始めるのが一般的です。
書き出しの例

・このことについては、
・標記の件については、
・見出しの件については、

 

本文の内容の書き方は色々ありますが、以下のような通知文等の独特な言回しやルールがあります。

・結論の部分を「ついては、」で書き始める。
・結論の部分を付け加えるときは「おって、」で書き始める。
・「記以下」がある文章では、「下記のとおり」など「記以下」を参照する文言を入れる。

 

「記以下」「別紙」の書き方

「記」は、本文から1行又は2行空けて記載し、「中央揃え」します。
記以下の本文は、「記」から1行空けて書き始めます。
記以下の書き方は、項目番号や配字について記載した、項番の振り方|配字とレイアウトも参照してください。

 

「記」のほか、必要に応じて別紙や別添を付け加えることもあり、以下のように使い分けます。

別紙・・・手続や基準詳細等を定めた文書を添付するとき
別添・・・参考のため既存の文書を添付するとき

いずれも、ページを改めて掲げ、左肩に「(別紙)」「(別添)」を表記します。複数の別紙、別添がある場合は(別紙1)、(別紙2)・・・と表記します。
なお別紙、別添があるときは、本文でも「別紙のとおり」などとそれを引用する文言が必要です。

 

問合せ先の書き方

通知文等では、最後に問合せ先を書くことが通例です。
決まったルールはありませんが、通常、文書の右方に「問合せ先」と記載し、改行して1字下げで課名等を記載します。
課名などは、通知元と重複する部分は省略可で、班や係名まで記載します。さらに、その行又は改行して担当者名も記載します。
担当者名は、氏だけのもの、役職名を記載したもの、どちらでも構いません。問合せ先であるので、その前に「担当者」と記載する必要はありませんが、記載しても構いません。
最後、その次の行に「電話」と記載して電話番号を掲げます。内線番号も付加し、必要に応じてFAX番号やメールアドレスも記載します。

 

通知文の標準レイアウト

以下は通知文の標準的なレイアウトです。
「■」は改行又は空白を表わしています。

       (文書番号、日付は均等割付)
             記号番号第12号
             令和○年○月○日


各○○○長□殿

(下線部、通知先と元の肩書を均等割付)
■           ○ ○ ○長 印

(標題は中央揃え、文書の性格を括弧書)
■     ○○について(通知)
(標題を受けた書き出し)
標記の件については、○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○下記のとおりお願いします。

(記以下を本文で言及。「記」は中央揃)
■        

1■○○○について
■■○○○○○○○○○○○○○○○○○○
■○○○○○○○○○
2■○○○について
■(1)○○○について
■■■○○○○○○○○○○○○○○○○○
■■○○○○○○○○○○○○○

 

戒告書の例文

戒告書(市長→建物所有者)

 

                              文書番号

 

               戒 告 書

 

 住所 ○○市○○一丁目1番1号
 氏名 ○ ○ ○ ○ 様

 

 下記の建築物については、貴殿に対し、令和○年○月○日付け○○○送第○号文書により、同月○日までに是正を命じたところであるが、いまだに履行していない。
 令和○年○月○日までに命令どおり履行しないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)第2条の規定に基づき、本職がこれを代執行するから、同法第3条第1項の規定により、この旨戒告する。
 なお、代執行に要する費用は、同法第2条の規定に基づき貴殿から徴収するものであることを念のため申し添える。

 

                              令和○年○月○日
                              ○○市長 ○○○○

 

                   記

 

所在地 ○○市○○一丁目1番1号
建築物等の表示
構造等 木造かわらぶき平屋建1棟○平方メートル

 

(不服申立ての教示)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

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