一元的な文書管理システムを構築する方法|分かりやすいシステムの作り方

一元的な文書管理システムを構築する方法|分かりやすいシステムの作り方

一元的な文書管理システムを構築する方法|分かりやすいシステムの作り方

一元的な文書管理システムでの管理

文書管理システムでの管理の原則

行政文書は、原則として作成、取得から廃棄に至るサイクル全般を文書管理システムで管理しなければなりません。
文書管理システムでサイクルを一元的に管理することで、いつ、どんな文書が、どの組織で発生し、誰が意思決定を行い、どこに、いつまで保存され、最終的には、いつ廃棄されたかまでを、適正に管理することが可能になります。

 

これは、文書管理システムに、正しく情報を入力することが前提となります。
たった一つの文書の入力を怠ることにより、あるいは正しくない情報を入力することにより、その文書の信頼性を損なうだけでなく、文書管理システム全体の信頼性、ひいては市の行う文書事務全体の信頼性を著しく損なうことになります。

 

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文書管理規則等に定められたルールに従い、文書管理システムに適正に情報を入力しなければなりません。
原則として、文書管理システムにより、収受又は起案をし(文書の発生)、電子決裁により意思決定を行い、所在場所を管理し、廃棄の記録を登録することが必要です。

 

ただし、例外として、文書管理システムを利用せずに起案を行うことが認められる場合があります(他の規則等で定めのある様式を使用する場合や、他のシステムから出力される帳票などの特例起案帳票を利用する場合)。
しかし、この場合においても、文書の所在や廃棄については、当該文書を収納するフォルダを文書管理システムに登録し、管理する必要があります。

 

文書管理システムに登録すべき行政文書

原則として、保存期間が1年以上の行政文書については、収受文書、起案文書及び資料文書といった文書の種別を問わず、必ず、文書管理システムに登録しなければなりません。
すなわち、基本的に作成途中の文書や職員の個人的なメモを除き、すべて文書管理システムに登録をしなければなりません。

 

紙文書の場合は、1年以上の文書を登録するべきものとしていますが、電子文書は保存期間が1年未満、すなわち0年保存の文書であっても登録すべきものとしています。
これは、電子文書の場合、保存期間の長さにかかわらず、処理(収受・起案)するに当たっては文書管理システムで行う必要があるということです。

 

文書管理事項とは

文書管理システムに登録を行うときには、文書管理責任者が定める行政文書の管理上必要な事項(以下「文書管理事項」といいます。)を入力する必要があります。
どのような項目を文書管理事項として入力すべきかは、その場面ごとに異なりますが、入力すべき項目は必ず入力しなければなりません。

 

この文書管理事項は、文書管理を適正に行い、正確な記録として残すために、必要な事項です。
入力しなければならない事項については、正確に入力しましょう。

 

行政文書の適正な取扱い等

適正な取扱い、迅速な処理

行政文書は、すべて適正に取り扱い、迅速に処理しなければなりません。
ここでいう「行政文書」は紙媒体のものも電子媒体のものも含まれます。

 

適正な取扱い

文書管理システムに、文書管理事項を適正に入力し、処理するだけでなく、改ざんとみなされかねない修正を行うことは厳に慎まなければなりません。
また、電子文書であれば、文書管理責任者の許可なしに、文書管理システムのサーバからクライアントパソコンにダウンロードし、電子メールに添付したり、USBメモリに保存し、家に持ち帰ってなりません。
紙文書であれば、その現物や写しを庁外に持ち出すことはできません。

 

迅速な処理

行政文書は、迅速に処理する必要があります。
受領した文書を収受登録せずにいつまでも放置したり、自分のところに承認・決定依頼や供覧で回ってきている文書を確認しないでおくことは許されません。

 

また、行政文書については、施行日が定められているものが多くあります。
施行日に間に合うように起案、承認・決定、浄書、施行の処理を行う必要があります。

 

このほかにも、文書の処理については、各場面において、速やかに行う必要がありますので、常に、自分たちの係の文書が今、どのような状態にあるか、次にどのような処理をすべきかを把握しておきましょう。
そのためには、毎日必ず文書管理システムを立ち上げ、処理状況一覧を確認する必要があります。

 

分類整理、利用の確保

行政文書は、紙媒体のもの、電子媒体のものを問わず、常に整然と分類整理し、いつでも利用できるようにしておかなければなりません。
事務の効率化や住民サービスの向上のためにも、文書をきちんと整理し、常に利用できる状態にしておきましょう。
そのためには、次のようなことに心がける必要があります。

 

文書分類・フォルダ

行政文書は、探しやすくするために、決められた文書分類、フォルダ単位に整理することが大事です。
また、その文書分類やフォルダの体系や名称も探しやすいものにする必要があります。

 

担当者だけが分かるような文書分類、フォルダの体系や名称では、その担当者以外が行政文書を探すことが難しくなってしまいます。文書分類やフォルダの体系や名称は、住民等が情報公開条例に基づく行政文書開示請求を行うときに、文書を探し、特定するための重要な目安でもあります。
誰もが分かるような文書分類やフォルダの体系や名称にしましょう。

 

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所在管理

行政文書は、文書管理システムによって検索することが可能です。
しかし、紙媒体の文書については、文書管理システムに登録されている所在情報と異なる場所に保存していると、現物を探すことができなくなります。
必ず、文書管理システムに登録されているフォルダに文書は収納するとともに、そのフォルダをどこに保存しているかについて、正確な情報を文書管理システムに登録しておく必要があります。

 

特に事務室内から、文書係が管理する文書庫に引き継いだり、各課が管理する書庫等に移し替えたりするときは、保存場所の移動について、文書管理システムに登録する必要があります。

 

文書の紛失、火災、盗難等の予防と非常時の持出し

行政文書のうち紙の媒体のものについては、紛失、火災、盗難等の予防の措置を講じなければなりません。
業務執行を継続して行うという業務上の目的、住民等への説明責任を果たし、また、民事訴訟等の証拠としての記録を保全するという目的、さらには住民等との共有財産として、歴史的文書として後世に伝えるという目的のためにも、保存期間が満了し、廃棄するまでは責任を持って保存する義務が自治体にあります。

 

具体的には、重要度に応じて、施錠できるキャビネットに保管したり、耐火金庫に保管することが必要です。
特に不開示情報が含まれる秘密文書については、厳重な管理が必要です。

 

また、災害時において、業務を継続し、行政サービスを提供できるようにするために、重要な文書については、あらかじめ、どのような文書が該当するのか、どこにその文書は保存されているのか、どのような手順で持ち出すのかを確認しておく必要があります。

 

電子文書のセキュリティ対策

電子文書の保存に当たっては、紙文書と同様に紛失、盗難、改ざん等の予防の措置を講じるとともに、非常災害に備えることが必要です。

 

文書管理システムのセキュリティ対策

文書管理システム内に保存されている文書は、情報セキュリティ対策や紛失、盗難、改ざん等の予防の措置について定めるとともに、非常災害に備え、文書管理システム及び電子文書等のデータのバックアップ措置を講じる必要があります。
バックアップテープについても、災害時の対策として、庁外の安全な場所に保管します。
また、非常災害時の復旧措置についても、文書管理システムを構成する機器類の障害等からの復旧の手順を定めておく必要もあるでしょう。

 

文書管理システムに保存されている電磁的記録のセキュリティ対策

行政文書は、文書管理システムに保存することが原則ですが、業務での利用方法等により、文書管理システムに保存できない場合があります。
文書管理システム内に保存できない電磁的記録についても、セキュリティ対策を講じなければなりません。

 

文書管理システム以外の業務システム内に保存されている電磁的記録についても、行政文書であるものがあります。
それらについては、各業務システムにおいて、文書管理システムと同様のセキュリティ対策を講じる必要があります。

 

業務システムに保存されている電磁的記録、例えば、全庁LANのファイルサーバに保存されている電磁的記録で行政文書であるものについても同様です。
さらには、フロッピーディスク等の媒体に保存されている電磁的記録についても、一定のセキュリティ対策が必要です。
これらについては、紙文書と同様に、重要度に応じて施錠管理できるキャビネットに保管したり、バックアップを取っておきましょう。

 

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