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「ため」「為」の違いと使い分け|公用文は平仮名「ため」【根拠と例文】

公用文では、「為」と漢字で書かず、平仮名で「ため」と書きます。目的・理由・利益のどの意味でも同じです。理由は、常用漢字表で「為」の読みが「イ」だけで、「ため」という読みが認められていないからです。

目的……事業を周知するため、説明会を開催します。
理由……大雨のため、中止します。
利益……住民のための制度です。
※「為替」「行為」「為政者」などの熟語は漢字で書きます。

 

この記事では、国の基準の根拠、意味ごとの例文、「ため」で誤解を生まない書き方を説明します。

 

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結論:公用文では「ため」と平仮名で書く

根拠は次の二つです。

 

1 常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)
「為」の読みは音読みの「イ」だけです(例:為政者、行為、作為)。「ため」という訓読みは載っていません。付表に「為替(かわせ)」があるだけです。
公用文の漢字使用は常用漢字表によるため(内閣訓令「公用文における漢字使用等について」)、「ため」を「為」と書くことはできません。

2 「公用文作成の考え方」(令和4年1月 文化審議会建議)
常用漢字表に使える漢字があっても仮名で書く「形式名詞」の例として、「事→こと」「時→とき」「物・者→もの」などと並んで「為→ため」を挙げています。

 

「ため」は、前の言葉を受けて「目的」「理由」などの意味を添える形式名詞です。形式名詞は、公用文では仮名で書くのが原則です。

 

意味ごとの例文

意味 例文
目的 制度を周知するため、説明会を開催します。
安全確保のために、通行を制限します。
原因・理由 台風接近のため、本日の窓口業務を休止します。
工事のため、駐車場が利用できません。
利益 子育て世帯のための支援制度です。
住民のためになる事業を進めます。

 

「~のため」「~のために」は、どちらも使えます。文が長くなるときは「ために」とすると、区切りが分かりやすくなります。

 

漢字の「為」を使う言葉

「為」は、音読みの「イ」として熟語に使います。また、付表にある「為替」は漢字で書きます。

 

行為 作為 不作為 為政者 人為的 有為
為替(かわせ) 郵便為替 為替相場

 

「なす」(成す・為す)も、「公用文作成の考え方」では「為す→なす」と仮名で書く例に挙がっています。

 

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「ため」で誤解を生まない書き方

「ため」は目的と理由の両方を表すので、文によってはどちらの意味か分かりにくくなります。

 

(例)職員を増員するため、予算を要求する。
→「増員することが目的」なのか、「増員したことが理由」なのか、前後の文脈がないと迷うことがあります。

 

誤解のおそれがあるときは、次のように言い換えると意味がはっきりします。

 

伝えたい意味 言い換えの例
目的 職員を増員することを目的として、予算を要求する。
職員を増員できるよう、予算を要求する。
理由 職員を増員したことにより、予算を要求する。
職員を増員したので、予算を要求する。

 

また、一つの文に「ため」が何度も出てくると読みにくくなります。「~ため、~するため、~」のような文は、二つの文に分けましょう。

 

同じように平仮名で書く形式名詞

「公用文作成の考え方」で、「ため」と同じく形式名詞として仮名で書く例に挙がっている言葉です。言葉を押すと、それぞれの使い分けの記事に移動します。

 

平仮名で書く 漢字で書く場合
こと(事) 事は重大である。
とき(時) 法律の定める年齢に達した時
ところ(所) 家を建てる所
もの(物・者) 所持する物、裁判所の指名した者
うち(中・内) 内に秘める
とおり(通り) 大通り

 

右の列は、「公用文作成の考え方」が漢字で書く例として示しているものです。具体的に特定できる対象を指すときは漢字で書きます。ただし「ため」には、漢字で書く場合がありません(「為」に「ため」の読みがないため)。

 

よくある質問

Q 「為」と書くのは間違いですか。
A 一般の文章では、昔からの書き方として見かけることはありますが、常用漢字表にない読みです。公用文やビジネス文書では「ため」と平仮名で書きましょう。

 

Q 「為になる」「為になる話」は?
A 「ためになる」「ためになる話」と平仮名で書きます。

 

Q 「念のため」は?
A 「念のため」と平仮名で書きます。

 

まとめ

・「ため」は、目的・理由・利益のどの意味でも平仮名
・「為」は常用漢字表で「イ」の読みだけ。熟語(行為、為政者)と「為替」に使う
・目的か理由か紛らわしいときは、「~を目的として」「~により」などに言い換える

 

そのほかの漢字と平仮名の使い分けは、「など、等」「ため、為」「さらに、更に」など漢字とひらがなの使い分け方もご覧ください。

 

根拠の原文は、文化庁の「常用漢字表」(PDF)と「公用文作成の考え方(建議)」(PDF)で確認できます。

 

 

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