常用文書とは?行政文書の保存期間と「常用」の意味を解説
1 常用とは
常用とは、紙文書を管理する場合において、廃棄するまででの間、文書庫に移動したり下の段に移したりせずに、現年度文書と同様に事務室内のキャビネットで保管することです。
「常用」で管理するということは、保存の形態の問題であり、所属年度がいつであるか、保存期間が何年であるかとは関係ありません。
常用文書であっても、所属年度や保存期間は他の文書と同じように必ず定めます。
常用文書であれば、所属年度や保存期間を指定せずに管理できるとの誤解がありますが、そうではありません。
また、電子文書についてはいつでも閲覧をすることができますので、常用という考え方はありません。
2 常用文書に指定する基準
常用文書に指定するのは、頻繁に使うため、文書庫で保存すると不便になる文書です。
そのため、常用文書は、常に事務室に置きますが、事務室に置く紙文書の量が増えると、事務スペースを圧迫することになりますので、常用文書は、本当にやむを得ないものに限らなければなりません。
決められたルールにのっとって管理をしていれば、文書庫に引き継いだとしても容易に文書を参照することができます。
また、一度常用文書にしたとしても、必要がなくなったときには随時常用を解除して、他
の文書と同様文書庫への移動を行います。
常用文書としては次のような文書が考えられます。
(1) その係の基本的な事務事業に関する資料
(2) 基本的な事務事業の管理状況を把握するために作った台帳、図面など
(3) いつでもすぐに、住民に閲覧させる文書
(4) 法令等の規定により、いつも事務室に備え置く必要のある文書
3 行政文書の検索方法
行政文書は、紙文書も電子文書も、原則として文書管理システムに登録されて一元管理されています。
電子文書の場合はその実体が登録され、紙文書の場合にはその所在が管理されています。
したがって、紙文書であっても電子文書であっても、行政文書の検索は文書管理システムにより行うことができます。
(1)電子文書の検索
文書管理システムの検索機能を利用し、必要な文書を検索したら、登録してある電子文書をそのまま参照することができます。
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(2)紙文書の検索
ア 事務室内にある文書を検索する場合
文書管理システムの検索機能により、保存場所を検索します。
文書管理システムでは、事務室内のどこにあるかまでは管理していませんので、事務室内での所在は、見出しや区分ガイドを使って探します。
そのため、キャビネット内の配置は、ルールに従い、分類別に、誰もが分かりやすいように並べます。
イ 文書庫にある文書を検索する場合
文書管理システムの検索機能により、保存場所を検索します。
文書庫で管理する文書については、基本的に文書庫内の棚番号、箱番号まで登録して管理していますので、文書のある場所まで正確に検索することができます。
場所が分ったら、実際に文書庫に行き、文書を参照します。
4 行政文書の利用方法
(1)電子文書の利用
上記3により検索をした文書は、行政文書ごとに文書管理システムに設定された権限に応じて、実体を参照することができます。
参照をできる文書は、検索画面からダウンロードなどをすることができます。
(2)紙文書の利用
紙文書を利用したときには、必ず元の場所に戻さなければなりません。
紙文書の場合には、元の場所に戻さないと、所在が分からなくなってしまいますので、注意が必要です。
特に事務室外に持ち出そうとするときは、文書取扱責任者にその旨を申し出なければなりません。
また、原則として庁外に持出してはいけません。
(3)文書係の管理する文書庫に保存されている行政文書の利用
(2)のうち、文書係が管理する文書庫に保存されている行政文書を利用する場合には、文書係に申し出て、文書の貸出しの手続を行わなければなりません。
5 行政文書の持出しの禁止
行政文書は、原則として庁外に持出すことはできません。
これは、秘密情報の漏えいを防ぐとともに、行政文書の紛失を防ぎ、適正管理を行うためです。
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