条例や例規の作り方|要綱、要領の作り方と注意点

条例や例規の作り方|要綱、要領の作り方と注意点

条例や例規の作り方|要綱、要領の作り方と注意点

条例、規則などを立案するときは、公用文作成上の一般的な注意事項のほかに次のことを守らなければなりません。
要綱や要領の作り方も、条例等の作り方に準じます。

 

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例規立案の原則

法の本質に適合するものであること

法規範としての条例、規則などの本質は、公権力を背景としている点にあります。
つまり、その本質は、ある事項についてすべきことやしてはならないことを定め、それを強制するところにあります。
したがって、その立案に当たっては、それが法規範として採り上げる必要性があるかどうかを、まず検討しなければなりません。

 

守ることができるものであること

条例、規則などは、普通の常識、知識を備えている人々が守れるものでなければなりません。

 

内容の正しいものであること

条例、規則などの内容が、法の理論からみて正しいものであることが必要です。
そこで、特に次の3点について検討する必要があります。

 

 (ア) 憲法の規定に違反するものであってはなりません。
 つまり、基本的人権の尊重と公共の福祉との調和が十分に図られなければなりません。

 

 (イ) 公権力の行使が適正かつ公平になされるように規定しなければなりません。
 公共の福祉の要請により、住民の権利や自由を制限するような場合には、特に配慮します。

 

 (ウ) 新たに作られる条例、規則などは、円滑に受け入れられるように規定しなければなりません。
 ときには、人々の社会生活に急激な変化を与えないように、新しい制度を段階的に実施することも必要です。

 

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既存の法令との間の調整を図ること

条例、規則なども憲法を頂点とした法体系の一部を形成しています。
この法体系を構成する個々の法令は、矛盾なく統一されていなければなりません。
したがって、新たな条例、規則などと既存の法令との間の調整をしなければなりません。

 

正確な例規文を書くこと

条例、規則などが公布されれば、その時から、文字で書かれた例規文に基づき、解釈され、適用されることになります。
立案者の意図や目的は、一つの参考資料にすぎなくなります。
したがって、立案する条例、規則などの規定の意味がはっきり分かり、解釈上疑問の生じないものにします。

 

分かりやすい例規文を書くこと

条例、規則などの表現は、正確さが必要です。
しかし、それが難解、複雑であっては、住民などの理解を得ることは難しく、それを守ることも期待できません。
したがって、条例、規則などの例規文は、住民の誰でもが容易に理解できるものでなければなりません。

 

実務上の注意事項

制定改廃の時機を失わないこと

条例、規則などには、制定し、改正し、廃止すべき時機が必ずあります。
もし、これを失うことがあれば、事務事業が円滑に執行できなくなります。
行政に重大な停滞をもたらすことにもなりかねません。
そこで、市政の動向はもちろん、国や都の法令、準則、要綱などの制定改廃の時期と内容を常に把握しておかなければなりません。

 

法形式の選択が正しいこ

条例、規則などで規定すべき事項には、それぞれ範囲と限界があります。
これを無視して条例、規則などを制定すれば、その条例、規則などは、違法や無効ということになります。
したがって、制定しようとする内容に応じて、条例、規則、どちらの法形式によるかを選択しなければなりません。
なお、場合によっては、条例、規則などの法形式によらず、他の方法(訓令、要綱など)によることもできます。

 

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一定の方式に従って規定すること

条例、規則などは、一定の方式により、規定されます。
この方式によらない場合には、条例、規則などの制定改廃の効果が達成されないこともあります。

 

用字・用語を適切に使うこと

条例、規則などに使う用字・用語には、一定の意味内容があり、その使い方が限定されることがあります。
用字・用語の使い方が適切でないと、正しく解釈できなかったり、適用に際して混乱を招いたりすることになります。
用字・用語は、その意味内容を十分に把握し、規定しようとする内容に合ったものを選びます。

 

立案請求の手続

どの自治体でも条例、規則、訓令と議案の立案は、文書係が担当していることが多いです。
なので、立案が必要になった場合、所管の部長が総務部長に立案請求するのが通例です。
その際の注意事項と請求手続は次のとおりです。

 

条例

(ア) 条例の制定や改廃の必要性の検討
条例の制定や改廃の立案請求に当たっては、次の事項を十分検討します。
① 条例制定事項であるかどうか。
② その事務事業執行の目的とその行政効果などの検討の結果、条例を必要とするかどうか。
③ 財政措置がなされているか、なされる見込みがあるかどうか。

 

(イ) 立案請求の手続
次の資料を添えて総務部長に制定改廃を請求します。
請求者は、担当部長に限ります。
① 条例の制定改廃の理由
② 条例案の概要や骨子
③ 条例案を検討するに当たって問題となった事項
④ 条例案文(一部改正のときは、新旧対照表)
⑤ 財政措置の関係

 

(ウ) その他の事項
① 立案請求をするときは、締切日を守ります。
やむを得ない理由で締切日を過ぎる場合は、事前に文書係と協議します。
② 財政措置を伴う条例を立案請求するときは、あらかじめ財政管轄課と十分に協議します。
③ 法令の制定改廃により条例を制定改廃するときは、必ずその根拠法令を明示します。
④ 条例準則その他参考としたものがあるときは、その資料を添えます。
⑤ 条例の施行規則を必要とする時は、その案と資料を添えます。
⑥ 条例案文は、縦書きとします。
⑦ 立案請求は、部内で十分に検討し、調整・整理された案文を添えて請求します。
⑧ 条例の制定改廃については、市長決裁を受けなければなりません。
担当の部は、条例の制定改廃を伴う事業の変更等について市長の決定を得た後に、総務部長へ立案請求を行います。
文書係は、各部からの立案請求を受けて立案を行い、審査した条例案文について議会に提出することについて、市長決裁を受けます。

 

規則と訓令

規則と訓令の立案請求は、条例の立案請求手続に準じて行います。
立案請求の時期は、公布、令達日の10日前までです。
その際、関係部課と十分協議して、整理された案文を添えて請求します。

 

議案

予算議案、道路関係議案、契約議案(報告を含む。)などの立案請求は、条例の立案請求手続に準じて行います。

 

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