成功をおさめるは「収める」「納める」?公文書の正しい漢字の使い方

成功をおさめるは「収める」「納める」?公文書の正しい漢字の使い方

成功をおさめるは「収める」「納める」?公文書の正しい漢字の使い方

このページの目次
  1. あう(合う、会う、遭う)
  2. あがる・あげる(上がる、揚がる、挙がる)
  3. あたたかい(暖かい、温かい)
  4. あらい(荒い、粗い)
  5. あらわす・あらわれる(表す、現す、著す)
  6. あわせる(合わせる、併せる)
  7. 言う、いう
  8. いかす(生かす・活かす)
  9. 「意思」と「意志」
  10. 異常、異状
  11. 「委譲」と「移譲」
  12. いたす、致す
  13. いたむ・いためる(傷む、痛む、悼む)
  14. うかがう(伺う、窺う)
  15. うち、内
  16. うつ(打つ、撃つ、討つ)
  17. うつす(映す、写す)
  18. おかす(犯す、侵す、冒す)
  19. おくれる(遅れる、後れる)
  20. おさえる(抑える、押さえる)
  21. おさめる(収める、納める、治める、修める)
  22. おりる・おろす(降りる、下りる、卸す)
  23. 「改訂」と「改定」
  24. かえる(変える、替える、換える、代える)
  25. かえりみる(顧みる、省みる)
  26. かかる(掛かる、係る、架かる、懸かる)
  27. 「格差」と「較差」
  28. かたい(固い、堅い、硬い)
  29. きく(聞く、聴く)
  30. 「規定」と「規程」
  31. こえる(超える、越える)
  32. こたえる(答える、応える)
  33. さがす(探す、捜す)
  34. さきに、先に
  35. 「収束」と「終息」
  36. すすめる(勧める、進める、薦める)
  37. そう(沿う、添う)
  38. たえる(耐える、堪える)
  39. たつ(絶つ、断つ、裁つ)
  40. つかう(使う、遣う)
  41. 「適確」と「的確」と「適格」
  42. ととのう(整う、調う)
  43. とる(取る、採る、執る、捕る、撮る)
  44. のぼる(昇る、上る、登る)
  45. まざる(混ざる、交ざる)
  46. まわり(回り、周り)
  47. めぐる、巡る
  48. もと(下、元、本、基)
  49. わかれる(分かれる、別れる)
  50. わざ(業、技)

成功を「おさめる」の漢字は、「収める」「納める」どちらが正しいか分からなくなってしまうこともよくあると思います。
このように同音で意味の近い語が漢字で書かれる場合、誤用がないように注意します。

 

成功を「おさめる」の正しい漢字は「成功を収める」です。
一方の「納める」は、「税金を納める」「注文の品を納める」という場合に使用します。
ちなみに「おさめる」には「治める」「修める」という漢字も存在し、「国を治める」「学問を修める」というように使用します。

 

以下では他にも特に間違えやすい漢字について、五十音順に例を挙げてご紹介します。

 

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あう(合う、会う、遭う)

合う …計算が合う。目が合う。
会う …人に会う。
遭う …災難に遭う。

 

あがる・あげる(上がる、揚がる、挙がる)

上がる・上げる …地位が上がる。
揚がる・揚げる …花火が揚がる。歓声が揚がる。
挙げる …例を挙げる。

 

あたたかい(暖かい、温かい)

暖かい …暖かい空気
温かい …心温まる話

 

あらい(荒い、粗い)

「荒い」は、勢いが激しい、乱暴である、節度がないなどの意味で、行動、言動、動作などについて用いられます。
「粗い」は、大ざっぱ、手が行き届いていないなどの意味で、状態、様子、やり方などについて用いられます。
ただし、これから完成させるものについて「粗削り・荒削り」などと用いる接頭語としての「粗・荒」には使い分けの区別はありません。

 

荒い・・・気が荒い。波が荒い。人使いが荒い
粗い・・・きめが粗い。仕事が粗い。粗い調査。

 

あらわす・あらわれる(表す、現す、著す)

「表す」は、その人の考えや感情などを言語、音楽、絵画などの手段によって表現したり、記号として、その内容を表示したりする場合に用いられます。
「現す」は、今まで隠れていたもの、分からなかった事情などがはっきり見える状態になることをいいます。

 

表す・表れる・・・言葉に表す。文章に現す。名は体を表す。
現す・現れる・・・姿を現す。才能を現す。成果が現れる。
著す・・・書物を著す。

 

あわせる(合わせる、併せる)

「あわせる」は、一致させるという意味の動詞には「合わせて」を用い、並行してという意味の副詞には「併せて」を用います。
ただし、接続詞の場合はひらがなで書きます。

 

合わせる・・・力を合わせる。時計を合わせる。
併せる・・・併せてお願いする。
あわせて・・・あわせて、住民の意向調査を行うべきである。

 

言う、いう

「言う」は、人が口に出して話す、述べる、注げるなど、人が口にする場合に用います。
それ以外は、慣例的表現(「言い分」などの熟語)を除いて、全て「いう」と仮名書きを用います。
例えば、「係長というポスト」といった表現は多用されます。

 

いかす(生かす・活かす)

「生かす」の反対語は「殺す」であって、「重篤な病人を生かす」などと用いられます。
「いかす」は、活用するという意味で、漢字で書くと「活かす」ですが、常用漢字表には「活」に「いかす」の読みがありません。
そのため、公用文では「活かす」は使えず、平仮名で書くことになります。

 

「意思」と「意志」

つまり単純に当事者の思いという意味なら「意思」、意欲があるという意味で「心の動き・志」に重点を置いているなら「意志」となります。
公用文の場合は、ほぼ「意思」を使用しておけば問題ありません。

 

意思・・・研修への参加の意思を確認する。意思決定。
意志・・・・彼は、意志が弱くてなかなか行動できない。

 

異常、異状

「異常」は、正常の反対語で、常と異なることです。品詞は形容動詞です。
「異状」は、「異なる状態」のことです。品詞は名詞です。
それぞれ品詞が違うのがポイントで、用法が違うことに注意します。

 

異常・・・異常な物音。異状な心理。
異状・・・異状なし。特に異状を認めない。

 

「委譲」と「移譲」

「委譲」は権限を任せて委ねることです。
「移譲」は事務事業や施設を移管することです。
ただし、判断が難しい場合もあり、法令上明確には整理されていません。

 

いたす、致す

「致す」は、及ぼす、尽くすなどの意味で用いられたり、動詞「する」の謙譲語として用いられたりする本来の動詞です。
「いたす」は、本来の動詞ではなく、補助動詞として「する」の丁寧語の意味で「いたします」という表現で用いられます。
動詞を丁寧にするために付いた「いたします」は平仮名になります。

 

致す・・・不徳の致すところ。思いを致す。私が致します。(動詞)
いたす・・・お願いいたします。ご案内いたします。(補助動詞)

 

いたむ・いためる(傷む、痛む、悼む)

痛む・痛める …足が痛む。
傷む・傷める …家が傷む。
悼む …死を悼む。

 

うかがう(伺う、窺う)

「伺う」は聞くや尋ねるの意味合いで用いるとき、「窺う」はのぞき見るや推定するの意味合いで用いるとき。

 

うち、内

「内」の反対語は「外」で、区切られた部分の中側を指す意味です。
「うち」は、「~のあいだ」「以内、限度内、範囲内」の意味のときは、平仮名で書きます。

 

うち・・・委員は経験者のうちから選任する。そのうちに連絡する。明るいうちに済ませる。

 

うつ(打つ、撃つ、討つ)

打つ …くぎを打つ。
討つ …敵を討つ。
撃つ …鉄砲を撃つ。

 

うつす(映す、写す)

写す・写る …書類を写す。
映す・映る …スクリーンに映す。

 

おかす(犯す、侵す、冒す)

犯す …法を犯す。
侵す …権利を侵す。
冒す …危険を冒す。

 

おくれる(遅れる、後れる)

遅れる …完成が遅れる。
後れる …後れを取る。

 

おさえる(抑える、押さえる)

押さえる …要点を押さえる。
抑える …怒りを抑える。

 

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おさめる(収める、納める、治める、修める)

収める …成功を収める。
納める …注文の品を納める。
治める …国を治める。
修める …学問を修める。

 

おりる・おろす(降りる、下りる、卸す)

降りる …電車を降りる。
下りる …許可が下りる。
卸す …小売に卸す。

 

「改訂」と「改定」

「改訂」は文書や書籍の更新のみに用います。
料金、規約、制度の更新には「改定」を用います。

 

かえる(変える、替える、換える、代える)

変える …形を変える。
換える …書き換える。乗り換える。
替える …振り替える。入れ替わる。
代える …書面をもって代える。

 

かえりみる(顧みる、省みる)

顧みる …過去を顧みる。
省みる …自らを省みる。

 

かかる(掛かる、係る、架かる、懸かる)

掛かる …迷惑が掛かる。
懸かる …賞金が懸かる。
架かる …橋が架かる。
係る …本件に係る訴訟

 

「格差」と「較差」

「格差」は構造的な差異があるという意味で、「較差」は数量的な差異があるという意味。

 

・地域の格差
・一票の較差

 

かたい(固い、堅い、硬い)

堅い …堅い材木
固い …固く信じる。団結が固い。
硬い …硬い表現

 

きく(聞く、聴く)

「聞く」は聞こえるや尋ねるという意味合いのとき、「聴く」は積極的に耳を傾ける意味合いのときに用います。

 

聞く・・・物音を聞く。道順を聞く
聴く・・・音楽を聴く。意見を聴く(※使役の意味では「聞」 例:意見を聞かせてください)

 

「規定」と「規程」

「規程」とは例規のことで、「○○規程」のように固有名詞の一部として用います。
「規定」とは例規中の条項や語句のことを言います。

 

こえる(超える、越える)

一定の数値をこえるという場合は、かならず「超える」と表記しなければなりません。
一方の「越える」は、またいでこえるという意味です。

 

越える・・・山を越える。権限を越えた発言。年を越す。
超える・・・人の能力を超える。目標額を超える。

 

こたえる(答える、応える)

答える・・・質問に答える
応える・・・期待に応える

 

さがす(探す、捜す)

捜す …犯人を捜す。
探す …空家を探す。

 

さきに、先に

先に・・・名詞「先」に助詞「に」が付いた語句で、前の部分、将来、先方など様々な意味で用いられます。
さきに・・・副詞の単独語で、この前、以前、かつて、などの意味で用いられます。

 

さきに・・・さきにお知らせした件。さきに御案内いたしましたように。

 

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「収束」と「終息」

「収束」は事態がある程度収まることをいいます。
「終息」は事態が終結することをいいます。
「終息」はあくまで自動詞のみに用いるので、「終息させる」という表現はしません。

 

すすめる(勧める、進める、薦める)

進める …時計を進める。
勧める …入会を勧める。
薦める …候補者として薦める。

 

そう(沿う、添う)

沿う …川沿いの家
添う …連れ添う。付き添う。

 

たえる(耐える、堪える)

堪える …鑑賞に堪えない。
耐える …重圧に耐える。

 

たつ(絶つ、断つ、裁つ)

断つ …退路を断つ。
絶つ …命を絶つ。
裁つ …紙を裁つ。

 

つかう(使う、遣う)

使う・・・物を使うとき
遣う・・・気持ちや言葉を遣うとき

 

「適確」と「的確」と「適格」

「適確」と「的確」は、いずれも主に法令に用いられます。
「適確」は適正確実なことです。
「的確」は取り上げたものが適正であるという意味です。
法令上は「適確」がやや多く使用されますが、法令以外の公用文では「的確」が使用されるのが慣例になっており、意味の違いはあまり意識されていません。
また、「適格」は資格に適合していることを意味します。

 

ととのう(整う、調う)

整う …整った文章
調う …味を調える。支度を調える。

 

とる(取る、採る、執る、捕る、撮る)

「採る」は選択の意味合いで、執るは実行の意味合いで用いられます。
特に選択の意味の「採る」を「とる」とひらがな書きしてしまう間違いが多いので注意が必要です。

 

取る・・・手に取る。
採る・・・決を採る。意見を採り入れる。
執る・・・筆を執る。指揮を執る。教べんを執る。
捕る・・・ねずみを捕る。
撮る・・・写真を撮る。

 

※「措置をとる」は意味合いによって、「採る(選択)」「執る(実行)」いずれも用いることが可能で、判断が難しい場合は平仮名で「とる」とするものとされています。この分別は難しいので、通常「措置を講ずる」とするのが適当です。

 

のぼる(昇る、上る、登る)

上る・・・坂を上る、川を上る、1億円に上る
登る・・・山を登る、演壇に登る
昇る・・・太陽が昇る、エレベーターで昇る

 

まざる(混ざる、交ざる)

交ざる …漢字仮名交じり文
混ざる …異物が混じる。

 

まわり(回り、周り)

回り …身の回り 胴回り
周り …池の周り 周りの人

 

めぐる、巡る

巡る・・・「物の周りをぐるぐると廻ること、あちこちと順々に回り歩くこと」の意味のとき
めぐる・・・「関連する、関する」の意味のとき。

 

めぐる・・・地球温暖化問題をめぐる議論

 

もと(下、元、本、基)

下 …法の下に平等
元 …火の元 出版元
本 …本から直す。
基 …使用を基にする。基づく。

 

わかれる(分かれる、別れる)

分かれる …意見が分かれる。
別れる …家族と別れる。

 

わざ(業、技)

業 …至難の業
技 …技をみがく。柔道の技

 

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