「ください、下さい」「できる、出来る」の使い分け方|公用文の常用漢字

「ください、下さい」「できる、出来る」の使い分け方|公用文の常用漢字

「ください、下さい」「できる、出来る」の使い分け方|公用文の常用漢字

補助動詞は平仮名、動詞は漢字

公用文では「補助動詞」は平仮名で表記し、「動詞」は漢字で表記するルールです。
補助動詞とは接続助詞「て」がついて、「~(し)てください」などの用い方をする一定の動詞をいい、前の動詞を補助的する語句のことをいいます。

 

補助動詞の例

ある いく いる おく くる くれる しまう みせる みる もらう やる ゆく よい

 

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補助動詞の文例

○ 書類は、明日までに届けておくよう伝えてください。
× 書類は、明日までに届けて置くよう伝えて下さい。

 

補助動詞は平仮名で表記しますが、同じ読み方でも単独の動詞で使う場合は漢字で書きます。

○ 遅れて提出してかまわない。(補助動詞)
○ 参加することは、構わない。(単独の動詞)

 

「下さい」「ください」の使い分け方

そのため「ください」についても、補助動詞のときは「ください」、単独の動詞のときは「下さい」と書きます。

 

お茶を出してください。(補助動詞)
お茶を下さい。(動詞)

 

「出来る」「できる」の使い分け方

一方の「できる」は、意味にかかわらず基本的に常に平仮名で書きます。
「できる」には「可能である」「能力がある」「完成する」という意味がありますが、どの意味でも「できる」と平仮名表記します。

 

対岸への通行ができるようになった。(可能である)
彼は、仕事ができる。(能力がある)
やっと資料ができた。(完成)

 

なお、例外として「出来高」「出来が良い」など「出来」を名詞で使う場合は漢字表記します。
「出来上がる」も漢字で書きます。

 

「出来る」は誤りか

公用文以外では「出来る」と漢字表記されていることが多いのが実情です。
「出来る」が誤っているかと言われれば、日本語として誤りではありません。

 

一般的には、ものが自然に生じる、新たに作られる、者が新しい形で現れるという意味で用いる場合は、意味的に「出来(しゅつらい・しゅったい)」ということなので、「出来る」と漢字で書きます。
一方、能力がある、可能性があるという意味で用いる場合は、意味的に「出来(しゅつらい・しゅったい)」ではないので、「できる」と平仮名で書くことになります。

 

しかし、どちらにしても公用文に限った話で言えば「常用漢字表」の「来」の終止形の「きる」の読みがないことから漢字では書けないことになります。
一方、名詞の「出来」は「動詞の連用形の名詞化」と呼ばれるもので、来るの連用形に「来(き)」があるため漢字で書きます。
「出来上がる」は、「できる」と「上がる」の複合動詞と考えれば「でき上がる」が正しそうですが、名詞と動詞の複合語と考えて漢字で書きます。

 

「かもしれない」「すぎない」は平仮名

ちなみに「かもしれない」「にすぎない」は、附属語に分類され、平仮名で書くこととされています。
「~について」も同様で平仮名表記します。

 

明日は、雨かもしれない(×知れない)
議会資料は、まだ骨子が完成したにすぎない(×過ぎない)

 

また、「いたす」は「致し方ない」は漢字で書きますが、「御案内いたします」のような敬語表現のときは、補助動詞であり、平仮名で書きます。

 

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