要綱・要領の違いと作り方|行政文書の要綱文・要領文の書き方、要項との違い

要綱・要領の違いと作り方|行政文書の要綱文・要領文の書き方、要項との違い

要綱・要領の違いと作り方|行政文書の要綱文・要領文の書き方、要項との違い

 

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要綱とは

要綱は、組織内の事務取扱を統一する目的で制定されるものです。
形式的にいうと、要綱は行政の内部規範(一種の訓令)であるということができます。

 

要綱は、条例、規則とは違って法規としての性質はありません。

 

したがって、住民に対して一方的に作為や不作為を強制する根拠にはなりません。
仮に「指導要綱」を制定したとしても、それは住民に対して任意に協力を求める指針に過ぎません。
要綱の内容により分類すると、次のようなものがあります。
(1) 事務事業の執行基準を定めたもの
(2) 補助金の交付その他給付事務の処理基準を定めたもの
(3) 組織内の協議会、懇談会などの組織運営を定めたもの
(4) 行政指導の大綱、基準などを定めたもの

 

要綱と要領の違い

自治体行政においては、要領の形式や登録等については、従来、要綱と同様の取扱いをしていました。
つまり同じ様式体系の文書にもかかわらず、あるものは○○要綱であったり、あるものは××要領であったりしたのです。
しかし、同じ内容のものが様々な名称で扱われることにデメリットはあっても、メリットはありません。
そのため、多くの自治体においては、要綱と要領については以下のような整理をしています。

 

基本的には、要領は要綱が定められているものについて、さらに細かい事務手続を定める場合に用います。

 

要綱 要領
説明 主として基本的なもの、内容が重要なものを定める場合に用いる。 要綱が定められているものについて、さらに細かい事務手続を定める場合に用いる。
名称 「要綱」、「基準」、「方針」又は「細目」を用いる。 「要領」又は「事務手続」を用いる。
決裁区分 市長(軽微なものは部長専決) 部長(軽微なものは課長専決)

 

要綱と要項の違い

「要項」は、必要な事項、大切な事項、また、それを書き表したものの意味で用いられます。
「要綱」は、物事の根本となる大切な事柄、また、それをまとめたものの意味で用いられます。
「要項」が現実的かつ具体的な必要事項を意味するのに対し、「要綱」は重要な大綱すなわち物事の大筋を要約したものを意味します。
なお、行政機関において、公文書の題名として「○○要項」「××要綱」など用いられますが、その使い分けに公式のルールはありません。ただし、法制執務の分野で「要綱」と言えば、地方公共団体による行政指導の準拠なるものを指すのが一般的です(例:住宅開発指導要綱)。

 

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要綱文の例文

要綱文の形式は、その性格が訓令的なものなので、例規に準じた形式を使い、条建てとします。
ただし、例規文と違い、基本的に横書きです。
要綱文の形式は、次のようになります。

 

○は文字、×は空白(ブランク)

×××○○市○○○○○○○○○○要綱(※題名)
令和○○年○月○日市長決裁(※決裁日と文書番号)
文書記号番号
×(○○○)(※ここから本則)
第1条×○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
×○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。
(○○○○)
第2条 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
×○○。ただし、○○○○○○○○○○○○○○○○○○。
×(1)×○○○○○○とき。 年額12,000円
×(2)× ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
××ア×○○○○○○○○○○○○○○○とき。 月額 5,000円
××イ×○○○○○○○○○○○○○○○○○○とき 日額 300円
2 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○。
第3条 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

(略)
第○条 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。
(※一行空ける)
×××付×則(※ここから付則)
×この要綱は、令和○○年○月○日から施行する。

 

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要綱文の書き方と注意点

題名

要綱の題名は、「○○市○○○○○○要綱」とするのが一般的です。
他にも題名に「要領」、「基準」などを使ったものもあります。
しかし、題名を区分する実益はないので、すべて「要綱」とすべきです。
ただし、要綱を定め、更に細部の指針を定める場合には、「要綱」に対し「要領」という名称を使ってもよいでしょう。

 

数字

要綱は横書きなので、要綱中に使う数字は、アラビア数字です。
したがって、条名と号名などもアラビア数字で書きます。

 

付則

要綱には原則として付則は付けません。
なぜなら、その要綱の決定日が要綱の施行日となるからです。
つまり、その日に市長から補助職員に命令を出したことになります。

 

ただし、事務事業の開始日を特定したいときや、給付事業の規定を遡及適用させたいときには、付則を付けて施行期日を定ることもできます。

 

要綱の作り方、改廃方法

要綱は担当の課で起案し、意思決定を行います。
条例・規則とは異なり、文書担当係に「立案請求」という形で依頼をする必要はありませんが、一般的には意思決定の際には、文書担当係長と総務担当課長、総務担当部長(行政委員会においては、庶務担当係長と課長)の文書審査が必要です。
さらに、経費を伴うものは、財政担当課の協議も必要です。
また、要綱の起案の方式は、基本的に次のとおりです。

 

要綱の作り方

要綱を新設するときは、制定理由など必要事項を入力し、添付文書として要綱案文を付けて、文書管理システム等で起案・決定を行います。
決裁区分は、市長決裁です。

 

要綱の改正方法

要綱の一部改正は、重要な事項の改正の場合は市長決裁、規定の整備など簡易な事項の改正の場合は部長決裁で行います。

 

要綱の廃止方法

要綱の廃止は、廃止することについてのみ起案をして決裁を受けるか、新設の要綱の付則で旧要綱を廃止することにより行います。
決裁区分は、市長決裁です。

 

要綱を特定する方法

要綱の一部改正、廃止などでその要綱を特定する場合がありますが、要綱を特定するための要綱番号は特にありません。
その場合は、要綱の題名の後に括弧書きでその要綱の決定年月日と文書記号番号を書きます。

 

まとめ

・要綱は、組織内の事務取扱を統一する目的で制定されるもの。
・要綱は、条例、規則とは違って法規としての性質はないため、住民に対して一方的に作為や不作為を強制する根拠にならない。
・「要領」は要綱が定められているものについて、さらに細かい事務手続を定める場合に制定する。
・要綱を新規作成したり、改廃を行う場合は首長決裁を行う。(簡易な事項の改正の場合は部長決裁)

 

 

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