個人情報の適正収集の原則とは?収集禁止事項、収集の制限を解説

個人情報の適正収集の原則とは?収集禁止事項、収集の制限を解説

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個人情報の適正収集の原則とは?収集禁止事項、収集の制限を解説

(適正収集の原則)
実施機関は、個人情報を収集するときは、その所掌する事務の目的達成に必要な最小限の範囲内で、適法かつ公正な手段によって収集しなければなりません。

 

【説明】
1 「個人情報を収集する」とは、事務事業に必要な個人情報を受領、聴取等により取得する行為をいいます。収集には、法令等に基づく届出や申請、申告、申込み、相談、検診及び調査等様々な形態があります。
収集する範囲は、事務の目的達成に必要な最小限の情報とし、過剰収集を禁じています。
2 「事務の目的」とは、法令等に基づき実施する事務の場合、その法令等の目的であり、個人情報業務登録簿に記載された「業務の目的」と同じです。
3 「適法かつ公正な手段」とは、個人情報の収集について違法性がなく、住民の基本的人権を侵害したり、誤解や疑念を抱かせたりすることのない信用のおける方法をいいます。
4 条例に反して個人情報が収集された場合には、その規定により、当該個人情報の本人に対して自己情報の削除請求の権利を認めています。

 

【運用】
1 業務の遂行上収集する個人情報のうち、どこまでが必要最小限であるかは、個々の業務によって判断することとなるが、安易に、事務処理上の利便性や慣例で、不必要な個人情報まで収集することがあってはなりません。
その個人情報が本当に必要かどうか、常に念頭に置いて収集する姿勢が求められます。
なお、場合によっては、申請書等の様式の見直しや改正を行うなど措置が望まれます。

 

例1
臨時職員の雇上げ等に履歴書を提出させる場合は、記入例を示して、雇上げ要件に必要のない事項は記入させないようにします。なお、機会をみて、所管課では必要項目に絞った履歴書の様式を作成するようにします。必要のない項目としては、家族構成や趣味などがあります。
例2
講演や講習会の参加者に住所、氏名、電話番号等を記入させる場合は、書かせる目的を明らかにします。単に「参考のため」や「念のため」に収集することは認められません。
例3
利用申請書や申込書等に職業や年齢等を書かせる場合には、それが、利用可否の要件であるもの又は特に理由があるものに限るようにします。

 

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2 新たに開始する業務に伴って個人情報を収集するとき又は既に登録してある個人情報記録の項目以外の個人情報を収集するときは、個人情報業務登録簿への登録又は個人情報業務登録簿の内容の変更が必要となります。

 

(収集禁止事項)
実施機関は、法令等に定めがあるとき、その他正当な行政執行に関連し、その職務の範囲内で行われるときを除き、次に掲げる事項に関する個人情報を収集してはなりません。
( 1 ) 思想、信条及び宗教に関する事項
( 2 ) 社会的差別の原因となる事実に関する事項
( 3 ) 犯罪に関する事項

 

【説明】
1 個人情報には、個人の内心の自由に関する情報、第三者に知られたくない情報等があります。これらの個人の人格的利益を侵害するおそれが大きいと考えられる個人情報は、特に慎重な取扱いが求められます。
そのため、これらの情報の範囲を定め、原則として収集を禁止しています。
(1 ) 「思想、信条及び宗教に関する事項」とは、所属政党、政治観、倫理観、人生観等のほか、趣味、し好も含まれます。
(2 ) 「社会的差別の原因となる事実に関する事項」とは、人種、門地、特定の病歴、その他差別を生む原因となる事実に関するものをいいます。

 

2 「法令等」とは、法律、政令、省令、条例及びこれらの委任を受けた規則をいいます。国からの通達、住の機関の訓令等は、法令等の範囲に含まれません。
「法令等に定めがあるとき」とは、法令等が具体的に個人情報を示して収集できることを明らかに定めている場合はもとより、法令等の趣旨、目的から収集できると解される規定であればよいということです。

 

 開票立会人の政党、政治団体所属関係(公職選挙法第62条)
 公職の立候補届出(公職選挙法第86条第3項)
 借受人及び保証人の届出事項
 職員採用の欠格条項(地方公務員法第16条)

 

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3 「正当な行政執行に関連し、その職務の範囲」とは、所掌する事務の目的達成のために、その情報の収集が避けられない場合に、その職務執行の限度内において収集できることを認めたものです。

 


 叙位、叙勲、各種表彰のための刑罰情報の収集
 保健師、ケースワーカー等の相談記録

 

4 個人情報は、電子算組織に記録することはできません。

 

5 条例に反し個人情報が収集された場合は、条例の規定により、当該本人に対して自己情報の削除請求の権利を認めています。

 

(収集の制限)
実施機関は、個人情報を収集するときは、収集の目的及び根拠を明らかにして、本人から直接これを収集しなければなりません。ただし次に掲げる場合においては、個人情報を本人以外のものから収集することができます。ただし、特定個人情報を収集する場合においては、番号法第19条各号のいずれかに該当する場合に限ります。
( 1 ) 本人の同意があるとき。
( 2 ) 法令等に定めがあるとき。
( 3 ) 人の生命又は財産に対する危険を避けるため、緊急かつやむを得ないとき。
( 4 ) 当該個人情報が、出版、報道等により公にされているとき。
( 5 ) その他、条例に基づき実施機関が特に必要と認めたとき。
ちなみに本人又はその代理人による法令等に基づく申請行為が行われた場合は、収集がなされたものとみなします。

 

【説明】
1( 1 ) 個人情報の収集については、条例で必要最小限の収集を規定することによって「範囲の規制」「内容による規制」「方法による規制」を行うことによって、個人情報保護の第一段階である収集から、適正な措置を確保しています。
( 2 ) 個人情報は、本人から直接収集することを原則とします。これは、情報が正確であることを確保する最良の方法であり、また、このことによって、本人は自己情報の流れを知ることができ、「自己に関する情報に関与する権利」を保障することになります。
( 3 ) 「目的及び根拠を明らかにして」とは、個人情報を収集するときに、何のために収集し、どのように利用するか、業務の目的や内容を本人に知らせることをいいます。明らかにする方法は、直接個別の口頭若しくは文書によること又は広報に掲載したり、条例の公布によって間接的に知らせたりすること等があります。いずれによるかは、業務の性格や、収集する個人情報の内容によって判断しますが、通常の手段と方法により、その内容を知り得る程度に明らかにすればよく、本人の完全な認識を得ることを前提にするものではありません。
また、法令等に基づく申請書等には、あらかじめ業務の目的や収集の根拠を記載しておくなども一つの方策です。

 

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2 (1 ) 個人情報は、本人から直接収集することが原則ですが、本人からの収集が困難な場合又は本人以外のものから収集( 以下「本人外収集」といいます。)することが法令等に定められている場合等があります。このようなことから、本項では、例外的に個人情報を本人外収集できる場合を定めています。
(2 ) 実施機関で、ある業務から別の業務のために個人情報を収集することは、異なる業務間での個人情報の目的外利用の問題であり、本人外収集の問題としては取り扱いません。
(3 ) 「本人の同意があるとき」とは、第三者から本人の個人情報を収集することについて、当該本人から文書又は口頭により、同意する旨の明確な意思表示がなされた場合をいいます。
なお、本人の代理人からの本人の情報の収集は、本人からの直接収集とみなしますので、ここでいう本人の同意に基づく本人外収集とは異なります。
(4 ) 申請等の行為に伴って、その事務処理の過程で本人外収集について了知し得る場合又は情報の流れに一定の経由機関があることを本人が了解している場合は、「本人の同意があるとき」に含むものとします。
例としては次のような場合があります。

 

例1 本人と自治体のほか第三者が関係する場合
 口座振替依頼書( 本人➪ 金融機関➪ 実施機関)
 健康診断書( 本人➪ 医療機関➪ 実施機関)
例2 本人の情報を所属団体から収集する場合
 審議会委員等の団体推薦( 本人➪ 所属団体➪ 実施機関)
 医師、保健師等の保健所実習生受入れ( 本人➪ 学校➪ 実施機関)
 町会長名簿( 本人➪ 町会➪ 実施機関)

 

(5 ) 「法令等に定めがあるとき」とは、通知、報告及び送付等を定めている義務的規定はもとより、本人以外から収集できると定めた規定も含みます。また、閲覧等ができると定めた規定も含まれます。
例として次のような規定があります。

 

例1 通知、報告及び送付等の義務的規定による収集
戸籍法第24条(職権による戸籍の訂正)
③ 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員がその職務上戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを知ったときは、遅滞なく届出事件の本人の本籍地の市町村長にその旨を通知しなければならない。

 

例2 調査、資料提供等の協力要請ができる規定による収集
地方税法第20条の11 (官公署等への協力要請)
徴税吏員は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、地方税に関する調査について必要があるときは、官公署又は政府機関に、当該調査に関し参考となるべき簿書及び資料の閲覧又は提供その他の協力を求めることができる。

 

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例3 閲覧等ができる規定による収集
地方税法第325条(所得税又は法人税に関する書類の供覧等)
市町村長が市長村民税の賦課徴収について、政府に対し、所得税又は法人税の納税義務者が政府に提出した申告書又は政府がした更正若しくは決定に関する書類を閲覧し、又は記録することを請求した場合においては、政府は、関係書類を市町村長又はその指定する吏員に閲覧させ、又は記録させるものとする。

 

( 6 ) 「生命又は財産に対する危険」とは、自然災害による生命、健康、財産の損失のおそれのほか、犯罪等の人為的危険による場合も含まれます。

 

( 7 ) 「緊急かつやむを得ないとき」とは、予測のつかない災害等の危険を避けるため個人情報を本人から収集する時間的余裕のないときで、かつ、本人の利益保護のためと客観的に認められる場合です。

 

(8 ) 「出版、報道等により公にされているとき」とは、新聞、書籍、テレビ、ラジオ等により、何人でも取得し、又は知り得る状態にあり、その公知性に疑義がないことをいいます。この場合は、個人情報は、公にすることを前提として本人から任意に提供されていると思われます。このため、公にされている個人情報は、当該出版物等から収集できることとします。
ただし、この場合は、誤情報でないことを充分調査して、正確で最新な情報の収集を心がけることが必要です。

 

(9 ) これら以外に、公益上の理由等で個人情報を本人外収集するときは、個別事項ごとに審査会に諮問し、その意見を聴いたうえで、実施機関が決定します。
なお、審査会の答申に基づく「事前一括承認基準」に該当するときは改めて審査会の意見を聴く必要はありません。
「事前一括承認基準」に該当するか、審査会に諮問するかの判断にあたっては、総務課長に協議します。

 

(10) 「特定個人情報」の収集については、番号法第19条各号のいずれかに該当する場合を除き、一律に禁止されています。

 

3(1 ) 「代理人」は、未成年者又は成年被後見人の法定代理人及び任意代理人をいい、「使者」は、代理人とみなします。代理人の解釈は、法令等に定めがあるときを除き、民法の規定によります。
(2 ) 申請行為は、本人の意思に基づいて自発的に行われるものであり、収集目的及び根拠は了解して行うものと考えられます。、また、代理人又は使者は、本人の範囲で行為をなすものであるため、本人からの直接収集とみなします。

 

4 条例に反して個人情報を収集された場合は、規定により、当該個人情報の本人に対して自己情報の削除請求の権利を認めています。

 

【運用】
1 本人同意の取り方
個別に本人同意を取る方法としては、あらかじめ個人情報の本人外収集をすることが分かっている場合は、届出書又は申請書に同意欄を設けて、申請時に同意を得るなど、事務の性質により適当な方法によります。
具体的方法の決定に当たっては、目的外利用の本人同意の取り方にのっとって、必要に応じて総務課長に協議します。
2 代理人による法令等に基づく申請行為があったときで、その申請に関して個人情報の本人外収集をする必要があるときは、代理人の同意は代理行為に係る行為と考えて、代理人の同意をもって、本人の同意とみなします

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