武蔵野市マンション事件判例から分かりやすく行政指導・処分を解説

武蔵野市マンション事件判例から分かりやすく行政指導・処分を解説

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武蔵野市マンション事件判例から分かりやすく行政指導・処分を解説

1 行政指導の意義
行政機関が、その担当事務の範囲内において、一定の行政目的を実現するため、特定の個人や事業者などに、一定の行為をすること又はしないことを求める指導、勧告、助言その他の協力要請に属する行為をいいます。(行政手続法2条6号)

 

2 行政処分との違い
① 相手方に法的義務を課すのではなく、任意の協力を求める事実上の要請です。
② 法律上の根拠は不要です。
③ 行政不服審査、取消訴訟の対象とはなりません。

 

【行政庁にとってのメリット】
・法律上の根拠がなくても出来るため、柔軟に使える。
・相手方の納得のうえでの協力という性質があるため、不服審査請求、訴訟等で争われるおそれがない。
このため住民にとっては、事実上の強制があっても訴訟等で争えない、恣意的な指導が行われるおそれ等のデメリットもありましたが、武蔵野マンション事件で「行政指導の限度を超えた場合は違法」という最高裁の判決が出ています。

 

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〈武蔵野マンション事件(最高裁令和5年2月18日判決)〉
自己所有地の上にマンション建築を計画した事業主に対し、武蔵野市が宅地開発指導要綱に基づき約1500万円の教育施設負担金を求めた行為が、指導要綱の文言及び運用の実態から、水道の給水拒否等の制裁措置を背景としており、本来任意に寄付を求めるべき行政指導の限度を超え、違法であると判断した。
この指導要綱には、従わない場合には、市が上下水道等の協力を行わないことがある旨の制裁条項が明記されていた。また、事業主が事前に市に減免等を求めたが、市はこれを拒否し、当時この要綱に従わない建設業者に給水留保等の制裁措置を発動している実体もあった。
そのため、最高裁は、任意である行政指導の限度を超えるとして違法性を認めた。

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