情報公開制度が浸透していくためにはどうすればいいか?現状と課題

情報公開制度が浸透していくためにはどうすればいいか?現状と課題

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情報公開制度が浸透していくためにはどうすればいいか?現状と課題

自治体は、情報提供施策の拡充を図り、政治に関する正確でわかりやすい情報を市民が迅速かつ容易に得られるよう、情報公開の総合的な推進に努めなくてはいけません。

 

1 行政文書開示制度と情報提供
行政文書の開示を請求する市民等の権利を明らかにするとともに、開示請求の対象となる行政文書の範囲、開示請求の具体的手続を決めておきます。一方、実施機関は、従来から主管する事務事業を円滑に執行するために、自主的に、あるいは市民等からの求めに応じて、必要な資料等を市民等に提供してきました。こうした情報提供は、行政文書開示制度とは別に行われるものですが、情報公開の総合的な推進に関する市の責務の趣旨を踏まえて、積極的に行うようにします。

 

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解釈・運用
1 行政文書開示制度は、何人にも市が保有する行政文書の開示を権利として認める点において、情報公開制度において重要な位置を占めるものです。
しかし、行政文書開示制度には、請求者が開示を請求しない限り開示されないこと、開示の対象は行政文書そのものであり、必ずしも請求者が知りたい情報が理解しやすい情報として存在していないこと、さらに開示請求者のみに開示されることなどの限界もあります。
そこで、行政文書開示制度のほか、市民が市政に関する正確で分かりやすい情報を迅速に得られるよう、市民からの開示請求を待つことなく、積極的に市政に関する情報を公表又は提供する情報公表施策及び情報提供施策の整備拡充を進め、情報公開を総合的に推進していくことを明らかにしたものです。
すなわち、市政についての市の説明責任は、請求があって初めて生じるものではなく、常に果たさなければならない責務として市に課せられているのです。
また、情報公開制度の総合的推進を図ることにより、この制度の究極的な目標である市と市民との情報共有による協働関係が築かれることとなります。したがって、この情報公開制度が真に市民のための制度となるためには、市民からの請求がなくても、市民が市政情報にアクセスすることが可能な制度の構築こそが求められており、市は、その実現のためにできる限りの努力をしなければなりません。

 

2 「情報公表」とは、法令等に基づき、義務的に情報を公にすることをいいます。

 

3 「情報提供」とは、行政文書開示制度によることなく、市が自主的に情報を公にすることをいいます。

 

4 公表又は提供する情報
公表し、又は提供する情報は、実施機関が保有する市政情報一般であり、文書、図画、写真及びフィルムに記録された情報のほか、すべての電磁的記録を含むものです。

 

 

実施機関は、市民が市政への参加をより一層推進し、又は市民の福祉を向上させるために必要な情報については、積極的に公表しなければいけません。しかし法令等で情報が不開示情報に該当するときは公表する必要はありません。
また実施機関は、同一の行政文書につき開示請求を受け開示をした場合等で、市民の利便及び市政運営の効率化に資すると認められるときは、当該行政文書を公表するよう努めなくてはいけません。
これは実施機関の情報公表の責務です。

 

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解釈・運用
1 公表の対象となる情報
⑴ 地方自治法に基づく地方財政状況の公表など法令等に別段の定めがある場合は、当該法令等に基づく公表を行うこととなります。
⑵ 情報が、不開示情報に該当する場合は、公表しません。
⑶ 公表の対象は、情報の内容であって、当該情報が記録された文書等の媒体そのものではありません。よりわかりやすい情報に加工して公表するよう努めます。
⑷ 「市政への参加をより一層推進し、又は市民の福祉を向上させるために必要な情報」とは、次のようなものが考えられます。
ア 市の長期計画やその他の市の重要な基本計画
イ アの計画のうち、中間段階の案
ウ 地方自治法(昭和22年法律第67号) 第138条の4 第3項に規定する執行機関の附属機関又は市長の私的諮問機関として設置された審議会等(以下「附属機関等」といいます。)の報告書及び議事録並びに当該附属機関等への提出資料等
エ 市の主要事業の進行状況
以上は、あくまでも例示であり、これ以外にも公表すべきものもあります。
またアからエに掲げるものでも公表するには適さない情報もありえますので、主管課は、公表すべき情報の種類や内容について、常にこの情報公開制度の基本理念である「市民との情報共有」を念頭において、検討していく必要があります。

 

2 複数回開示請求を受けた行政文書等の公表についてです。
「同一の行政文書につき開示請求を受け開示をした場合等で、市民の利便及び市政運営の効率化に資すると認められるとき」とは、同一の行政文書について繰り返し開示請求がある場合などで、当該行政文書を積極的に公表することが、市民の便宜にもなり、行政運営の効率化に資する場合をいいます。

 

3 公表の方法としては、市告示式の形式で行うほか、各主管課の窓口において当該情報を閲覧に供することが原則ですが、それ以外にも広報やホームページの利用等により、より広く市民への周知を行うように努めます。

 

 

実施機関は、広報などを効果的に使い、市政に関する情報を一層市民が利用しやすいものにする等情報提供施策の拡充に努める必要があります。
また効果的な情報提供を実施するため、市民が必要とする情報を的確に把握し、これを収集するよう努めるないといけません。

 

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解釈・運用
1 情報提供施策は、市が市民にとって有用と認めた情報を、市民に対して自主的に提供するものであり、市民が市政に関する情報を、分かりやすく、容易に得られるようにするものです。したがって、市政に関する情報提供を積極的に推進することで、行政文書開示制度と相互に補完しあい、総合的な情報公開の実現に努めます。
2 「情報提供施策の拡充」とは、情報提供の量を増やすること又は内容を向上することを意味します。
具体的には、市民への情報の窓口である報道機関への積極的な情報提供や自主的な広報活動等の拡充が考えられます。
また、従来の情報提供の手法である広報等の資料提供に加えて、インターネットの利用を始めとする情報通信技術の進展に対応した多様な媒体による情報提供についても今後の重要な整備課題としてこれに努めるものとします。
3 「市民が必要とする情報を的確に把握し、これを収集するよう努める」とは、市民の市政に対する意見及び要望を幅広く適切に把握する広聴活動を積極的に行うとともに、その成果を広報活動へ還元し、市民が必要とする市政に関する情報を効果的に提供できる体制を整備するよう努めることです。
4 広聴広報活動は、広報課だけの職務ではありません。各課が主管する事務について市民への説明責任を果たし、市民の市政への参加を促進するためには、各課において、市民のニーズを把握し、その情報を市民へ提供していかなければなりません。このことは、情報提供制度のみならず情報公開制度一般にいえることです。情報公開制度は、特別な制度ではなく、各課が行う事務について、窓口で市民へ説明を行うことの延長線にあるものであり、日常業務の一環であるべきものなのです。したがって、この情報公開制度の運用につ
いても、できる限り市民にわかりやすく、市民の便宜を図る方向で行っていかなければなりません。市においては、各課の職員一人一人が、自分の行う事務について、市民への説明を行う義務があり、情報公開についても各職員がその窓口となり、市民との協働関係を築いていくことが大切です。

 

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(出資法人等の情報公開)
市が出資法人等は、条例の趣旨にのっとり情報公開を行うため、必要な措置を講ずるよう努めないといけません。
実施機関は、出資法人等に対し必要な措置を講ずるよう指導に努めないといけません。

 

1 市が出資その他財政上の援助等を行う法人等であって、実施機関が定める「出資法人等」は、情報公開を行うよう努めるとともに、実施機関は、出資法人等に対し、情報公開を進めるよう指導に努めなければなりません。

 

2 出資法人等は、市とは別個の独立した法人であるため、条例上の実施機関とすることは困難ですが、出資法人等は、市政の重要な役割を担うものであり、また市が出資その他の財政上の支援及び職員の派遣等の人的支援等を行っており、市の説明責任を果たすためには、出資法人等の保有する情報の公開を進めていく必要があることから、出資法人等の設立趣旨や自律性に配慮しつつ、出資法人等が自主的に情報公開に努める責務について定める一方、実施機関に対しては、出資法人等の情報公開について指導する責務を課します。

 

解釈・運用
1 「市が出資その他の財政上の援助等を行う法人等のうち実施機関が定めるもの」とは、今後定めることとなりますが、次の法人が該当します。
⑴ 施設公社
⑵ シルバー人材センター
⑶ 社会福祉協議会 など

 

2 「必要な措置」とは、出資法人等が自主的に行う、情報公開に関する要綱などの内部規程の制定などがあります。
3 「講ずるよう指導に努める」とは、標準的な規程(モデル要綱)を示し、指導を行うことなどが考えられます。
4 出資法人等は、市が提示したモデル要綱をもとに、必要な規定整備を講じるなど自主的に情報公開に取り組むことを予定しています。現在策定中のモデル要綱は、基本的には条例に沿っていますが、法人としての特性を踏まえた内容にします。

 

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