情報公開請求権と権利の濫用とは|情報公開請求の事務のコツ

情報公開請求権と権利の濫用とは|情報公開請求の事務のコツ

情報公開請求権と権利の濫用とは|情報公開請求の事務のコツ

多くの自治体が情報公開条例を定めており、その条例の中では「何人も、実施機関に対し、当該実施機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。」としたうえで、「何人も、この条例に基づく行政文書の開示を請求する権利を濫用してはならない。」と定め、権利の濫用に当たる請求があったときは、当該請求を拒否することができることとしています。

 

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権利の濫用が疑われる場合の事務処理の流れ

①開示請求を受理し、濫用の疑いがある場合、まずは主管課において後述する指針に沿って判断
②主管課において、濫用にあたると判断した場合、総務課と協議
③総務課において、濫用にあたると判断した場合、不開示決定書を主管課が申請者に送る

 

権利の濫用の趣旨

条例に基づき、住民の知る権利を尊重し、行政文書の開示を請求する権利を保障するとともに、自治体の説明責任を果たし、住民と協働することにより、公正で開かれた政治の推進を図る必要があります。
一方、開示請求者には、条例の目的に即した開示請求する権利の適正な行使及び得た情報の適正な使用が求められます。
実施機関は、条例に基づく開示請求の趣旨に反するような請求については、権利の濫用として開示請求を拒否することができますが、権利の濫用の適用に当たっては、慎重な運用が求められるます。
具体的に権利の濫用にあたるかどうかの判断基準は、例えば以下のようになります。

 

権利の濫用の適用に当たって考慮すべき要素

⑴ 実施機関の業務遂行の停滞を目的としていると認められるとき
(例)・正当な理由がないにもかかわらず、過去に開示請求を行った同一の行政文書について、開示請求を繰り返すとき
・開示請求を行い、開示決定されたにもかかわらず、正当な理由がなく閲覧等を行わないことを繰り返し、開示を受ける意思がないと認められるとき
・特定の部、課、係等への集中又は連続した大量の開示請求であって、言動等により実施機関の業務遂行を停滞させる害意が認められるとき

 

⑵ 特定の部署又は特定の職員への威圧、攻撃などを目的としていると認められるとき
(例)・特定の職員を誹謗、中傷又は威圧するなどの言動があるとき
・特定の職員が関与する行政文書についての集中又は連続した開示請求であって、言動等により威圧などの害意が認められるとき
・特定の部、課、係等への集中又は連続した大量の開示請求であって、言動等により攻撃などの害意が認められるとき

 

⑶ 大量請求
(例)・「○○課の全ての文書」など大量の請求であり、開示請求の内容が具体的でなく、補正を求めても補正に応じないとき

 

権利の濫用の適用について

権利の濫用の適用に当たっては、開示請求者の言動、開示請求の内容、方法など、当該開示請求による実施機関の業務遂行の停滞その他様々な事情を総合的に勘案し、上記2の考慮すべき要素等に照らして慎重に判断することが求められます。
安易に不開示の決定をするような運用は慎まなくてはいけません。

 

Q&A

Q1 開示請求の「拒否」とは何か?

A1 開示請求の「拒否」とは、不開示決定のことを指します。
この点、開示請求をするに当たって必要となる形式的な要件を備えていない場合に実施機関が行う「却下」と異なります。
そのため、開示請求が権利の濫用に該当すると認めるときは、行政文書不開示決定通知書により、開示請求者に対して決定を行うこととなります。

 

Q2 開示請求の「拒否」を行うに当たって、個人情報保護審査会に諮問する必要はあるか?

A2 必要ありません。審査会は、審査請求があった場合、第三者機関として実施機関の諮問に応じて審議・答申を行う役割があ
るため、実施機関が処分を行うに当たっての判断に関与することはできません。

 

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