「から~まで」の使い方|公文書・公用文の漢字とひらがな

こちらの記事では、公用文で間違いやすい「から~まで」の使い方を解説します。
また、「まで」とひらがなで書くのか、「迄」と漢字で書くのかも注意しましょう。

 

「から」と書いたら「まで」と書く

現在、口語体でも「10万円から20万円の金額で購入する」「1月から3月の期間」といった「まで」抜きの表現が良く見受けられます。
これは文語体で期間や数量の範囲を示すのに、「10万円乃至(ないし)20万円の金額で購入する」「1月ないし3月の期間」という表現をしていた名残でといわれています。
しかし、公用文では、「乃」が常用漢字表にないため、「乃至(ないし)」という漢字自体が使えません。
「ないし」と平仮名であっても、文語体であり、「又は、若しくは」の意味と紛らわしいので、使わない方がいいでしょう。
そのため、口語体で、ものの範囲を示す場合は「から~まで」を用います。
そして「から」を使った後は必ず「まで」で締めます。

 

範囲を示す場合は、必ず「~から~まで」と表現し、後の「まで」を落とさないよう注意します。
「まで」を省略しても意味が通じることが多いため、省略されがちですが、「まで」を入れるのが正しい表現です。

 

【具体例】

第1章から第3章までを暗唱しなければならない。
この電車は、東京駅から新大阪駅まで停車しません。
会議は午前10時から午後1時までの予定です。

 

「まで、迄」の使い分け方

公用文を書くときに、「まで、迄」など漢字か平仮名かどっちで書くべきなのか迷うことがあると思います。
その判断の基準になるのが以下の2つです(それぞれ文化庁にリンクされます)。

 

① 「常用漢字表」(平成22年11月30日内閣告示第2号)
② 「公用文における漢字使用等について」(平成22年11月30日内閣訓令第1号)

 

①「常用漢字表」は、「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」であり、「科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない」ものとされています。
ここには「目安」とありますが、公用文においては、「常用漢字表」に従うことが「原則」なっています。
というのも、②「公用文における漢字使用等について」は、その第1の基準に「公用文における漢字使用は常用漢字によるものとする」とはっきりと明言をしているからです。

 

ちなみに、常用漢字表に掲げられている漢字でも、読みが掲げられていない語句には用いることができません。常用漢字表が示す「音訓」も、厳密な原則となっているからです。

 

結論:「まで」を用いる

公用文においては、助詞、助動詞、それらに類似した語句は、平仮名で表記するのが原則です。
「まで」は助詞に該当するため、平仮名で書きます。
その他、以下のような語句は漢字と平仮名を間違いやすいため注意が必要です。

 

助詞の例

~は  ~が  ~ぐらい(×位)
~など(「等」は「など」とは読まない。)
~のほど(×程) ~ほど(×程)
~まで(×迄) 
~ごとに(×毎)  ~とともに(×共に)
~において(×於いて)
~にかかわらず(×拘わらず)

 

 

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