生成AIで公文書・起案文を作るプロンプト例文集|公用文ルールの指示と注意点【公務員向け】

ChatGPTなどの生成AIを使うと、依頼文や通知文、起案文の下書きを短い時間で作れます。ただし、そのままでは公用文の書き方に合わない表記が混ざったり、事実と違う内容が出てきたりします。この記事では、公用文のルールを守らせる指示の出し方と、そのまま使える場面別のプロンプト例、国の資料に基づく使うときの注意点をまとめます。

先に結論
1 まず職場の生成AI利用ルールを確認する(入力してよい情報、使ってよいサービス)
2 個人情報・非公開の情報は入れない。名前や住所は「Aさん」「○○町」に置き換える
3 公用文のルールをプロンプトに書いて指示する(この記事の「基本の指示文」をコピーして使える)
4 出力は必ず人が確認する。法令名・条文・数字・日付は特に注意
5 仕上げに公用文チェッカーで表記を確認する

 

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まず確認:職場のルールと国の考え方

生成AIを業務で使うときは、最初に所属する団体の利用ルールを確認してください。使ってよいサービスや、入力してよい情報の範囲は、団体ごとに決められています。

 

国は、次のような資料を出しています。

総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(第4版)」(2025年12月)
生成AIの活用事例や、生成物の正確性への懸念への対応策を示しています。生成AIの利用目的に応じて求められる正確性の水準が異なることを意識して、生成物を人が確認するルールを設定すること、入力した要機密情報を学習させない仕組み(オプトアウトの徹底)が重要であることなどが書かれています。自治体が作る職員向けの生成AI利用ガイドラインのひな形も付いています。

デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2026年6月 2.0版)
国の府省庁向けのガイドラインです。利用者は、各府省庁が定めた利活用ルールを守ることとされています。別紙に、利用者向けのルールの例が載っています。

 

どちらにも共通する考え方は、「情報を守る」「出力を人が確認する」「自分で説明できる形で使う」の三つです。

 

入力してはいけない情報と置き換え方

個人情報保護委員会は、2023年6月に、行政機関等が生成AIサービスを使うときの注意点を示しています。

・個人情報を含むプロンプトを入力する場合には、特定された利用目的のための必要最小限の利用又は提供であることを十分に確認すること。
・保有個人情報を含むプロンプトを入力する場合には、生成AIサービスを提供する事業者が、その情報を機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること。

 

また、デジタル庁のガイドラインの利用ルールの例では、規約への同意だけで誰でも使えるクラウド型の生成AIを業務で使う場合、原則として要機密情報を取り扱わないこととされています。

 

下書きを作るだけなら、具体的な個人情報は必要ありません。次のように置き換えて入力しましょう。

そのまま入れない 置き換えの例
申請者の氏名・住所・電話番号 「申請者A」「○○町」「(電話番号)」
相手の団体名・担当者名 「○○協会」「担当者様」
公表前の予算額・計画 「○○円」「(事業名)」
苦情や相談の具体的な中身 要点だけを一般化して書く

 

置き換えた部分は、出力された下書きに自分で書き戻します。

 

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公用文のルールを守らせる「基本の指示文」

生成AIは、何も指示しないと一般的な文章の書き方で出力します。次の指示文をプロンプトの最初に付けると、公用文に近い表記になります。内容は、文化庁「公用文作成の考え方」(令和4年)や内閣訓令「公用文における漢字使用等について」に基づいています。

 

【基本の指示文】(コピーして使えます)
あなたは地方自治体の文書担当職員です。次のルールに従って、公用文として文章を作成してください。
・常用漢字表の範囲で漢字を使う。
・接続詞の「ただし」「したがって」「また」「なお」「かつ」は平仮名で書く。「及び」「又は」「並びに」「若しくは」は漢字で書く。
・「こと」「とき」「ところ」「もの」「ため」「とおり」「できる」「ある」「いる」は、形式的な意味で使うときは平仮名で書く。
・「〜していただく」「〜してください」「〜してみる」など、「て」に続く補助的な言葉は平仮名で書く。
・名詞の「打合せ」「問合せ」「申込み」「取扱い」は送り仮名を省き、動詞は「打ち合わせる」のように送る。
・「御」と読む接頭語は「御確認」「御協力」のように漢字で書く。
・横書きなので、数字は算用数字を使う。
・句読点は「。」と「、」を使う。
・依頼・通知・照会など相手がいる文書は「です・ます」で書く。
・一文を短くし、一文の論点は一つにする。
・法令名、条文の番号、日付、金額などの事実は推測で書かず、分からないときは【要確認】と書く。

 

最後の一行が特に大切です。生成AIは、もっともらしい法令名や条文番号を作ってしまうことがあります(いわゆるハルシネーション)。「分からないことは【要確認】と書く」と指示しておくと、確認すべき場所が分かりやすくなります。

 

指示しても、表記の誤りが完全になくなるわけではありません。出力後は、公用文チェッカーに貼り付けて確認すると効率的です。

 

場面別のプロンプト例

【 】の部分を書き換えて使ってください。どの例も、最初に「基本の指示文」を付けることを前提にしています。

 

1 依頼文(照会文)の下書き

次の内容で、【○○協会】あての照会文を作成してください。
・目的:【○○事業の実施状況の把握】
・照会内容:【令和○年度の参加者数、実施回数】
・回答期限:【○月○日】
・回答方法:【別紙様式により電子メールで提出】
・問合せ先:【○○課○○係】
構成は、件名、前文、本文、記書き(照会事項、回答期限、回答方法、問合せ先)の順にしてください。

 

ポイント:構成を指定すると、記書きのある公文書の形になります。文例は照会文の作成例、依頼文の作成例も参考にしてください。

 

2 通知文の下書き

次の内容を関係部署に知らせる通知文を作成してください。
・通知する内容:【庁内システムの停止】
・日時:【○月○日(○)午後○時から午後○時まで】
・影響:【この間、○○システムが利用できない】
・お願い:【停止前にデータを保存する】
前文の時候の挨拶は不要です。要点を記書きにまとめてください。

 

ポイント:庁内向けの文書では、挨拶を省くよう指示すると簡潔になります。文例は通知文の作成例をご覧ください。

 

3 起案文(伺い文)の理由の下書き

次の内容で、起案文の「伺い」と「理由」の部分を作成してください。
・決裁を求める内容:【○○の購入】
・理由:【現在使用している○○が故障し、修理部品の供給が終了したため】
・予算:【○○費で執行】
・根拠:【要確認】
理由は3文以内で、経緯、必要性、効果の順に書いてください。

 

ポイント:根拠の規程や条文は、生成AIに考えさせず、自分で調べて書き込みます。伺い文の書き方は公務員の起案文書(伺い文)の書き方|伺い書の例文集で説明しています。

 

4 住民向けのお知らせを分かりやすく書き直す

次の文章を、住民向けのお知らせとして分かりやすく書き直してください。
・専門用語は使わないか、使うときは説明を付ける。
・一文は短くし、箇条書きも使う。
・意味や条件(対象者、期限、金額)は変えない。
・変えた箇所と理由を最後に一覧にする。
【元の文章】

 

ポイント:「意味や条件は変えない」「変えた箇所を一覧にする」と指示すると、元の文との違いを確認しやすくなります。広報文の書き方は広報文の書き方をご覧ください。

 

5 会議の記録を要約する

次の会議の記録(文字起こし)を要約してください。
・出席者の発言の趣旨を変えない。
・決まったこと、今後の対応(担当と期限)、継続して検討することに分けて書く。
・聞き取れない部分や不明確な部分は推測せず【不明】と書く。
【文字起こしの本文(氏名は役職名に置き換えたもの)】

 

ポイント:AIで作った要約も、組織で使うために保有すれば行政文書になります(後述)。発言者や数字に誤りがないか、必ず元の記録と照らし合わせてください。

 

6 書いた文章の表記を確認する

次の文章を、「基本の指示文」のルールに照らして確認してください。直したほうがよい箇所を「元の表記→直した表記(理由)」の形で一覧にし、文章全体は書き直さないでください。
【確認したい文章】

 

ポイント:全体を書き直させると、どこが変わったか分からなくなります。一覧で出させると確認が楽です。機械的に確認できる表記は、公用文チェッカーでも確認できます。

 

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出力を使う前のチェックリスト

□ 事実:法令名、条文の番号、日付、金額、人数、団体名は正しいか(元の資料で確認したか)
□ 【要確認】:AIが【要確認】【不明】と書いた箇所を、全て埋めたか
□ 表記:公用文の表記になっているか(公用文チェッカーで確認)
□ 説明できるか:文書の内容を、自分の言葉で説明できるか
□ 表現:偏った表現や、不快感を与える表現はないか
□ 権利:他人の文章や資料を丸ごと写したような出力になっていないか
□ 置き換えた情報:「申請者A」などを、正しい情報に書き戻したか

 

デジタル庁のガイドラインの利用ルールの例でも、生成AIの出力に基づく判断も説明責任の対象になること、利用者自身がAI生成物について説明できることを確かめた上で業務に使うこと、判断に迷う場合は利用しないことが挙げられています。

 

知的財産権のリスクへの対策は、文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月)も参考になります。

 

AIで作った文書の扱い(行政文書になる)

内閣府大臣官房公文書管理課長通知「デジタル技術を用いた行政文書の作成・管理等について」(令和7年2月14日)では、次のように整理されています。

行政機関の職員がAIを活用して職務上作成した文書(審議会の議事録原案等)は、行政機関において、組織的に用いるものとして保有されれば行政文書になるが、文書の正確性を確保するため、必要な確認を経ることが重要である。

 

この通知は国の行政機関向けのものですが、自治体でも同じ考え方で扱うのが安全です。AIで作ったかどうかにかかわらず、文書の内容は、作成した組織が責任を持って確認する必要があります。

 

よくある質問

Q 無料の生成AIサービスで仕事の文書を作ってもよいですか。
A 所属する団体のルールによります。国の府省庁向けの利用ルールの例では、規約への同意だけで誰でも使えるクラウド型の生成AIでは、原則として要機密情報を取り扱わないこととされています。使ってよいサービスと入力してよい情報を、まず確認してください。

 

Q AIが書いた文章をそのまま起案してもよいですか。
A そのまま使うのは避けましょう。事実や表記の確認が必要なうえ、内容を自分で説明できることが前提です。この記事のチェックリストで確認してから使ってください。

 

Q どのくらい細かく指示すればよいですか。
A 「誰に」「何を」「いつまでに」「どんな構成で」を書くと、公文書に近い形で出力されます。この記事の場面別の例を、自分の業務に合わせて書き換えて使ってください。

 

Q 「基本の指示文」を付けても表記の誤りが出ます。
A 生成AIは、指示どおりにならないことがあります。出力後に公用文チェッカーで確認し、指摘された箇所を直してください。

 

まとめ

・まず職場の生成AI利用ルールを確認する
・個人情報・非公開の情報は入れず、「Aさん」「○○町」に置き換える
・公用文のルールを指示文で伝え、分からない事実は【要確認】と書かせる
・出力は人が確認し、自分で説明できる形にしてから使う
・AIで作った文書も行政文書になり得る。正確性の確認が重要

 

公用文の書き方全体は、公文書の書き方まとめ(目次)と公文書の書き方のルールとコツ50選で説明しています。

 

根拠の原文は、総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブックの改訂について(概要)」(PDF)、デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(PDF)、内閣府「デジタル技術を用いた行政文書の作成・管理等について」(PDF)、文化庁「公用文作成の考え方(建議)」(PDF)で確認できます。

 

 

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